2018年11月2日金曜日
大統領令での出生地主義の廃止議論
昨日のUSリーガル・リサーチ・アナリシス&ライティングの授業で、
教授が、トランプ大統領の国籍についてどう思うかと聞かれ、
クラスの中で、議論がありました。
アメリカでは、両親の国籍に関係なく、アメリカ国内で生まれた子供には、
アメリカ国籍を付与するととしており(出生地主義)、これは、憲法修正14条で定められた
国民の権利です。
しかし、トランプは、このことで、不法移民たちが、子供にアメリカ国籍をもたせたい両親が、
アメリカに流入してくると批判し、大統領令で、アメリカで生まれても、アメリカ国籍を与えない
とすることを考えていると報道されています。
憲法で認められた権利に反し、大統領の命令で国籍を与えた無いというのは、
法律家には、かなり驚きをもって伝えられています。
当然のことならが、憲法は、大統領など行政府の権力の濫用を防止するために
制定され、権力者から国民の権利を守るものです。
現代の社会で、法治国家であるアメリカが、大統領命令で、
国民の憲法上の権利を失わせることが議論されるとは・・・。
仮に、これが実行されれば、アメリカ国籍を取得できかった人は、
裁判で権利侵害を主張できると思いすが、トランプが最近、
保守派はキャバナー判事を、最高裁判事に任命したことから、最高裁では保守派が
多数派を占めています。そのため、裁判をしても、保守派が、トランプ大統領の
政策を支持するのではないかとも思われ、そうすれば、憲法上の権利で
なんなんだとの話になると思います。権力者が憲法上の権利を無視しても、
裁判所がこれを是認しては、憲法上の権利保障はなされません。
なお、アメリカ国民の大多数は、ヨーロッパなどアメリカ以外の移民で、
イギリスからの移民によって成立した国です。
そのため、仮に、出生地主義が廃止され、両親の国籍によって、子供の
国籍が決まるのであれば、アメリカ国民はすべからくアメリカ国籍を失い、
先祖の国籍となると思われ、トランプの祖先も、当然、アメリカ国外の移民なので、
トランプ自身もアメリカ国民ではなくなるとの帰結になります。
唯一、アメリカ国籍を得られるのは、ネイティブ・アメリカンだけになりそうです。
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